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  <title type="text">progressive_limit.</title>
  <subtitle type="html">創作ＳＳ置き場</subtitle>
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  <updated>2007-04-06T22:45:26+09:00</updated>
  <author><name>燕</name></author>
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    <published>2007-07-09T14:12:29+09:00</published> 
    <updated>2007-07-09T14:12:29+09:00</updated> 
    <category term=" 日記log " label=" 日記log " />
    <title>log　1-</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<font face="Arial" size="4">
<p><font size="4">　001<br />
<br />
　――気付いたことメモ。今更の事みたいだけれど、中二病的要素を多分に好んでいる自分に気が付いた。いくら何でもそりゃないでしょ、みたいなモノをどーしてもやりたがる自分がよく解らなかったけれど、合理的うんぬんより先に、自分はまだ中二病要素をかっこよいと感じられる精神年齢だったらしい。ショック以前に妙に納得してしまい、気持ちの置き場が見つからなかったのでひそかにココでバラしてみる。やるせない。これで自分にかけた不必要なリミッターが外れることになるのだけれど、それは同時に悪趣味全開の悪ノリを始めますと言う合図でもあるので、書き手としてはどうなんだろうかと内心で呟きつつ、今は無心で続きを作成している。そろそろlogの形態も改めたい。<br />
<br />
　002<br />
<br />
　――過去のlogを消去して、梯子っぽいカタチに更新形態を変えてみる。日付降順にしているのは、ただ単に自分の中で整理が付きやすいから、そして見る人間が余りにも限られているから。容量を減らしていけば、これでも充分見られる内容にはなってくれると思う。メインは飽くまでも「気ままな散文」なので、こういうチラシの裏的なモノはこっそりとひっそりと沈んでいく方が好ましい。と思うの。続きをばーっと書いて、これがゲームテキストの練習になるのかを疑問視し、ある程度の間を開けながら引き延ばしていこうと考えた。継ぎ足し日記をやろうと考えたのもここから。感性と言うより、ヒットポイントが人よりずれていることの方が問題な気がしてきた。ともかく、今は趣味全開でやったモノにどれだけの反応が来るのかということを優先的に試したい。他は後回しかな。テクノサウンドに身を任せつつ、空想した世界を思ったまま吐き出してみてどんなモノが出来るやら。<br />
<br />
　003<br />
<br />
　――サイト周りやら色んなトコロを弄くって今。随分前から気付いてはいたのだけれど、自分のブームは大体２週間くらいしか持たないらしい。勿論３日坊主、あるいはそれよりも早く醒めることもあるけど、夢中になって遊んでいても２週間周期でコロッと忘れてしまう辺りが超絶Ｂ型気質たる所以かと思った。ううう。今聞いてみると、らぢおに割いていた気力はとんでもないモノがあってビックリ。よほど面白かったんだね。今じゃそんな声を出せるのかどうか。いやむしろそのテンションに持ち越せるのかどうか。知らない内にムリを溜め込むと言う性格からか、気が付くとかなり突飛な行動に出てしまうというのはいかがなモノだろう。それだけ非日常に関する願望というか、破壊衝動というか、そういうものが胸の中を渦巻いているという証なんだろうけど、もう少し穏便に消化していきたい。例えば文章。例えば絵。例えば食事。例えば散歩。バランスと効率でその辺何とかならないのかなーとずっと思ってたのですが、こう言うことを相談すると「ムリしなければいーんじゃない？」とのお答えを多数頂きます。それを受けてという訳じゃありませんが、しばらく好きにやらせていただくとします。大人になれない子の気持ち悪ーい妄想力を、とくと味わっていただきたい。うひ。<br />
<br />
　004<br />
<br />
　――ハピコアをハピハコという癖が直らない。それは良いとして、こういう曲自体が今結構少なかったりするのがちょっと残念。自分のイマジネーションを攪拌する起爆剤としてはとても有効なだけに、大事に聴いていきたい。あそこまで躁鬱を体現した曲調をもた音楽というのは他にないような気がする。自分の中では音楽の良いところ取りと言う感じで大好きなのだけれど、確かに飽きられやすいジャンルかも知れない。アゲハやLove＆Joyみたいな神曲だけが後に引き継がれて行くんだろう。肝心の自分がやろうとしている物語のカタチは、どちらかと言えばオルタナティブが若干混じったプログレという感じなのだけれど、心の中で鳴り響いているモノはハッピーハードコアな訳で。そう言う意味でのズレはどこで生じているのかよく解らない。だから人生は深いモノなのかも知れない。はふーん。自在少女のプロットが見えてきたけれど、この筋書きをどこまで守るのかは不明。しばらくはコレに沿って様子見と行こう。<br />
<br />
　005<br />
<br />
　――なのはStrikerSを繰り返し視聴中。自分の方向性に重なるジャンルは何かなーと考えたところ、Fate、コードギアス、なのは、のいずれかとなったので今それ。作画崩壊が著しいとの前評判があったので手を着けるまでは時間が掛かったけれど、話がそれを補えるほどにテンション高いので大丈夫。脳内補正は得意技だ。アレはアニメ・漫画・ドラマＣＤの３分野で補完しあって１つの世界を盛り上げていくカタチなので、今から色々とワクワクだったりします。自分の考える魔法少女はどうにも突飛な能力者が多すぎるので、外装なりバランスなりを学びつつリピートリピート。音楽的に言えばクラシックメタルの入ったレイブという感じなのか。何にせよ、王道な燃えストーリーから学ぶことは多い。設定集やマンガを繰り返し読みつつ、しばらく絵方面はこちらで固定していこうかと思う。キャラ多いし、そう簡単には飽きないと思いたい。ちなみに自分が一番大好きなのはティアナです。冷静になれないセンターフォワードという立場にメロメロなのです。自分の適性にとって致命的な弱点を抱えているという構図が堪らない。今後の成長が楽しみです。<br />
<br />
　006<br />
<br />
　――創作意欲と物欲は切っても切れないモノだなぁと認識する。いざなのはでなんかやってみようとすると、まぁ当然の事ながら資料が欲しい。でもそれ以上に、新しいお話が読みたい。ＴＶシリーズをビデオで繰り返し見るのも限度があるし、サウンドステージをフルリピートするというのも無理がある。だから他のサイトさんなどを回ってみたり、自分で作ろうとしているネタを確認してみたり、そんなこんなをやっているけれど全く追いつかない。新しい情報の更新が欲しい。思えば、コードギアスの時も一週間何で潰そうか試行錯誤していた。とりあえずメガマガは必要経費として買わなければならない他、出来れば何かの資料集、無ければ画面キャプチャからの自作資料を作って今後の足しにしていきたいと思うの。基本的に自分がやりたいのはスバル&times;ティアナのスターズ隊いちゃいちゃモノなので、そこに絞られると思うのだけれど、それでも必要な絵は膨大だ。がむばろう。<br />
<br />
　007<br />
<br />
　――７月下旬以降は予定が立て込み始めるので、なのは関連は冬をメドに動きたいと思う。別所に設定してある絵描き用のブログも放置したままなので、それを専用ページにして半年計画&hellip;&hellip;といっても実質３～４ヶ月もないけど、その期間に集中してやろうかと思う。ネタは今のところティア主人公でスバルに迫られるモノばかり。まぁそれが描きたいんだから当然こうなるのだけれど、何個か案を出していってシェイプしたいと思う。とは言え、ガチ系とおちゃらけ系もやってみたいので、出来れば２つ。サウンドステージを聴くとさらに妄想が広がりまくるので困った。やはりこの２人はソフト百合をやるのに絶妙な距離感を持っていて好感が持てる。基本的に関係のイニシアチブを握っているのはティアなんだけど、スバルは境界線を無視して急接近してきたり、無意識に悩殺スマイルしてきたりするから、その度に心が揺れるというアレ。たまりませんわー。どこまで再現できるかは頑張り次第か。<br />
<br />
　008<br />
<br />
　――第３期平沢進ブームが到来。もちろん自分の中で。というかテクノサウンドが美しく鳴り響けば、それだけで雲の向こうへ辿り着けそう。なの。妄想だけど。腹の底から沸き上がってくる悪意を調整するのに、これほど向いた楽曲もそうない。何もかもが平沢式の巻き舌に飲み込まれていく。平行してAFXの曲なども聴き直してみる。やはりこれだけは別格という感じで、何もかもがぶっ飛ばされると言うか、主観視点というモノが完全に奪われるような、心地よい喪失感を覚えて病みつきになる。自分の空想世界の原点は、そういった白い部屋の壁の中にあるんだという事を思い出させてくれたよ。とてもありがとう。<br />
<br />
　009<br />
<br />
　――実験ネタの続きを書こうと思ったら、頭がスバル&times;ティアネタで一杯だったため、一時断念。５作ほど候補があるので、そいつらを全部吐き出してからにする。１つ。ガチ系で少し鬱な展開に百合を混ぜる。なのはヴィータの関係に近くなる感じで、戦闘中の負傷絡みで仲が急接近する。２つ。寝惚けネタでじゃれあうおちゃらけ系。８話や１０話を見る限りではティアの寝起きはあんまり良くなさそうなので、スバルはティアに色々とスキンシップを試したところ、大変なことに。３つ。あっけらかんとしたエロ系。えっちなことに対して全く躊躇しないスバルが、スキンシップの要領でティアをトロトロにしてしまうという王道的なエロ同人の流れ。４つ。デレたティアが自分でもコントロールできないくらいにスバルべったりになると言うモノ。ここでもスバルはティアのことを友達だと思っているのでもどかしい思いをする。５つ。ティアの方からスキンシップを取ってみたら、予期せぬリアクションを貰ってお互いにときめいてしまい、少し気まずくなる。コレもある意味ガチ系。&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;こりゃ他のネタが出てこないわけだ。しばらくそっち。<br />
<br />
　010<br />
<br />
　――今後のお買い物リスト。定期購読はジャンプとメガマガ、資料用のグラビア誌。ブックオフで安めのジャンプコミックスとラノベを漁る。森博嗣・詩的私的ジャックは必須。そろそろエンジェルハウリングもコンプしに行きたい。コミックスではムヒョ＆ロジとBREACHあたりか。定期購読誌を１つ増やそうかとも思うのだけれど、そうすると新刊コミックスが出たときに対応できなくなる恐れがあるので２の足を踏む。小説は、しばらく森博嗣、秋田、プラスアルファで固定になりそう。ゼロの使い魔も読みたいけれど、アニメだけで我慢の子。月に漫画誌４冊、コミックス４冊、文庫４冊、情報誌１冊、資料１冊。これが今のところの限界か。後はアニメと自己補完でどうにかやって行くしかない。まずは自作資料。コレを少しずつ作っていきながら力を蓄えていこう。と思う。</font></p>
</font>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/29</id>
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    <published>2007-07-05T00:50:11+09:00</published> 
    <updated>2007-07-05T00:50:11+09:00</updated> 
    <category term="自在少女と僕らの果て" label="自在少女と僕らの果て" />
    <title>放課後に抱いた、淡い期待の攻防戦</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<font size="4">　<br />
　「で、何なんだ一体」<br />
　いつもの帰り道、手を繋いで、と言うわけでもなく２人で通学路を下りていく。<br />
　「ちょっとね、告白でもしてみようかと思ったのさ」<br />
　「私は気でも触れたのたかと思ったぞ」<br />
　「嬉しいね、そこまで喜んで貰えたとは」<br />
　日暮は眉間にシワを寄せて、溜め息をつく。<br />
　「そういう軽口を叩くって言うことは&hellip;&hellip;やはり違うんだな」<br />
　「いや、告白は告白さ。隠していることを話そうって言うんだからね」<br />
　僕は立ち止まり、横道に出来た小さな階段を指差した。<br />
　「この上がどうなってるか知ってるか？」<br />
　「小さな社がある、とだけな。それに関連した七不思議も有ると訊くが」<br />
　「それは初耳だ。まぁ、僕が言いたいのは、今はもう少し開けていて、密着するには都合の良い小さなベンチがあるというだけなんだがね」<br />
　「お前が座って話せ、犯人なんだから」<br />
　「犯人違う」<br />
　「お前は生まれたときから犯人だよ。私には分かる」<br />
　ひどい推理だ。そんな探偵が居たらＣＭをまたがずに事件を解決してしまう。お茶の間の敵になってしまいそうだ。<br />
　しかも、遠からず当たっているところが恐ろしい。<br />
<br />
　「さて」<br />
　湿っぽいベンチに腰掛けて、僕は日暮優の視線と向き合った。見つめ合うカタチだが、この状態ではときめきも何もない。鬱蒼と茂るシダ系の樹木が、陰湿なフィルタで初夏の日射しを遮っていた。<br />
　「どこから話そうかね」<br />
　「全部だ。話の整理はこっちでやる」<br />
　「分かった。ならこちらも何とか、システマチックにまとめられるように努力するよ」<br />
　鞄の中からミネラルウォーターを取りだし、一口含む。水分が脳に拡散していくイメージを被せながら、短い話を始めた。<br />
　「今から開示する情報は２つ。どちらも、僕が突然学校から居なくなる理由だ」<br />
　「おう」<br />
　解決編の心構えが出来ているらしい。日暮はただ腕組みをして僕の目を見る。<br />
　「１つ、僕は一人暮らしだと今まで言っていたがね、厳密には違うんだ。妹がいる。たった一人の僕の家族で、普段はどこかの私立学校で寮生活を営んでいる。そして、生まれつき体が弱い。何か緊急の呼び出しがあったり、寂しいから電話されてみたり、気分が良いから散歩に付き合ったり、近くまで勝手に出てきたからお茶してみたり、&hellip;&hellip;まあ大体がこんな理由だよ。ガッカリしたか？」<br />
　「いや」<br />
　短く切って、日暮は少し目を閉じ、何かを飲み込むような間を空けて言った。<br />
　「お前にしては随分と情報を公開してくれたな、と感心しているよ。自覚がないようだから、クラスでのお前の印象を教えてやろうか？　ズバリ何を考えているか分からない、だよ。普通に振る舞えてるつもりなんだろうが、具体的な情報を何も持たせてくれないヤツは、逆に存在感が増すんだ。覚えとけ」<br />
　「&hellip;&hellip;忠告、痛み入るよ。ただ、僕は間を繋ぐためだけのお喋りってヤツが苦手でね。自然とそう言う機会も減ったってトコロだが&hellip;&hellip;、そういう印象を持たれてたんじゃ元も子もない、な。次の話はそこに関係が有る」<br />
　冷気を帯びた間が空く。コレは日暮のモノだ。真剣味という独特の緊張感を味わう。<br />
　「２つ、僕は特異能力者だ」<br />
　言って、一拍の確認をした。<br />
　「&hellip;&hellip;魔法遣い、じゃないのか？」<br />
　「アレが２３区から出てくるものかよ。国の管轄だし、僕はそんなモノに関われるほど大それた存在じゃない。ここの常識に沿って言えば『超能力者』に近いけど、それとは全く異なる存在だ。超は付かずに、『能力者』。ある感覚が常識の限界を超えてしまった人間が、現実世界面に何らかの作用力を及ぼせるようになったら、ここにカテゴライズされることになる」<br />
　「ふむ」<br />
　少し天を睨んで、日暮はゆっくりと背後の樹に体重を預けた。<br />
　「質問だ。視力が５．０の人間は能力者か？」<br />
　「違う。視力の回線が開いて、可視光域が異様に広がったらそう呼べるかも知れない」<br />
　「もう一つ。お前の素性はよく解っていないが、何か大きな組織とでも関わりがあるのか？」<br />
　「生憎、そういうスリリングな背景は持っていないね。ただ、ここよりは殺伐としたところの出身だったよ。それだけだ」<br />
　「その能力が本物で有るという証明は？」<br />
　「目には見えないが、お前に実感して貰うことは可能だ。気が進まないけどな」<br />
　「詐術でないと第三者に説明できるか？」<br />
　「こりゃ驚いた。解答が分かってなければ出来ない質問だぜ、それ。&hellip;&hellip;やり方によっては可能だけど、そいつには永久に僕の秘密を守って貰わなければならなくなるな」<br />
　「そうか」<br />
　目を閉じて日暮は状況を整理し始めた。思っていたより話が早く、僕としては安堵する前に感心してしまう。こいつは、少なくとも僕よりはずっと賢いし、それを認めることに何の抵抗も湧かないほど、嫌味がない。聡い子どころか、恐ろしい女だと認識を改めた方が良さそうだ。<br />
　「整理しながら喋れるか？」<br />
　「効率は落ちるが、可能だ」<br />
　「単純なイエスノー問題だから、解答は相づちで良い。――１つ、お前は能力者か？」<br />
　「いや」<br />
　「誰かの後ろ盾があって僕を監視していたと言うことはないか？」<br />
　「いや」<br />
　「今話した内容は、お前の思惑とは違っていた？」<br />
　「ああ」<br />
　「この会話をしたことで、何かお前に利益があったか？」<br />
　「ああ」<br />
　「不利益があったか？」<br />
　「ああ」<br />
　「お前は今、僕の知らない情報を持っているな？」<br />
　「ああ」<br />
　「この会話をすることを第三者に知らせたか？」<br />
　「いや」<br />
　「お前は、僕の素性を本当は知っていたんじゃないか？」<br />
　「いや」<br />
　「問題の整理は出来たか？」<br />
　「ああ」<br />
　「なら訊こう。&hellip;&hellip;お前は今、２つ以上ウソを言ったな？」<br />
　「――ああ」<br />
　ニヤリ笑って、日暮優は微笑んだ。&hellip;&hellip;やっぱり恐ろしい女だったか。無害である確率が１０％未満とは。しかも計算が早い。女ではこういうタイプの人種は珍しいと思ったが、居るところには居るモノだ。人生は分からない。<br />
　「３年前の今日」<br />
　「火曜日か」<br />
　「&hellip;&hellip;お前の能力は把握したよ。大した女だ。普通に喋らせてくれ。とにかく３年前の６月１７日&hellip;&hellip;まぁ火曜日だが、その日に僕は人を死なせている。殺意があったわけじゃないが、結果として殺人を犯したということは事実だ。それまでは何てことのない力だと思っていたんだがね。遊びが過ぎた。余りにも意味不明な事件だから迷宮入りしたみたいだけど、世間的に見て決して安全な人間じゃない。&hellip;&hellip;軽蔑したか？」<br />
　「犯人を相手に軽蔑したも何もない。自白したことを評価するだけだ。少しだけ安心させてやるが、私は警察関係者でも能力者狩りでもない一般市民だ。１人の友人として、お前を責める事なんて出来ない」<br />
　「理解が早すぎると会話の味ってなくなるんだな&hellip;&hellip;思い知ったよ。行間と文脈をデザインするような会話は出来ないから、このままのトーンで続けるぞ。お前が予想してた話ってなんだ？」<br />
　「ん？　このごろ起こっている不審者の事件だが。ホームルームでの説明を聞いてなかったのか？」<br />
　「いや、まぁ、聞いてたことは聞いてたが&hellip;&hellip;なぜそれが僕と関係あるって思った？」<br />
　「言っただろう。お前は何を考えているかよく解らないフシがあると。今までのいかがわしい犯行を悔い改めるために私をここに呼んだと、そういうつもりで来たんだが」<br />
　&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;落ち込んだ。<br />
　「それにな、証言も結構ある。お前にそっくりなニット帽の男が、情緒不安定な半笑いを浮かべながら、卑猥な言葉をかけて迫ってくるそうだ。有葉のヤツもそれに引っかかりそうだったのだが、通りがかりの力士が張り手をかまして助けてくれたそうだよ。現場に落ちていたひび割れたサングラスは海賊ブランド製で、身元の割り出しは困難だそうだ」<br />
　「&hellip;&hellip;それと僕と何の関わりが有るんだよ。ていうかハタ迷惑な事件だな。そんなアブナイ奴が僕のそっくりさんだなんて信じたくもない」<br />
　「顔がソックリの奴は、大抵心が食い違ってるものさ。シャドウだよ」<br />
　「いっとくが、僕の夢遊病的犯行という説は却下するからな。そんなマンガみたいな話があってたまるかよ」<br />
　「とりあえず現場を検証するか」<br />
　「話を聞いてくれ」<br />
　「有葉も呼んである。解決編のつもりだったが、ただのゼスチュアになりそうだな」<br />
　「僕の告白を無視する気か」<br />
　「残念だけど、縁がなかったと思ってくれ。私にはお前とつきあえない理由が有るんだ」<br />
　「何だよ」<br />
　「彼女が居る」<br />
　「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　「泣くな」</font>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/28</id>
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    <published>2007-06-29T00:53:30+09:00</published> 
    <updated>2007-06-29T00:53:30+09:00</updated> 
    <category term="自在少女と僕らの果て" label="自在少女と僕らの果て" />
    <title>最後の日常、その柔らかい傷</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><font size="4"><br />
　<strong><em>――学校が、好きだった。</em></strong><br />
</font><font size="4"><br />
<br />
　単調な板書の音に引きずられて目を醒ますと、全くいつもと変わらない景色があって、混乱した。窓辺には強い日射しとそれを遮る白いカーテン。教室にそれとなく収まっている３５人～４２人の生徒達。１４時３６分を示す無骨なモノクロ時計。くたびれたコンクリートの匂い。そんな所に戻ってきている。<br />
（夢か&hellip;&hellip;）<br />
　僕は、違和感の正体を決めつけた。ゆめ。ひどく切迫した心理を追った、典型的な悪夢。ただ、それを客観してみたとき、中身は大抵、強迫観念の幼稚な具象に決まっている。そして、だからこそ、なんのことか覚えていない。そのくせ、何か重要なヒントが有るかのように思えてるから厄介だ。逃した魚は大きいという心理がそこに働くのだろう。案外、自分の神経も安っぽいのだなぁと感じる。そうまとめたところで、チャイムが鳴った。<br />
　大がかりな板書を終えた教官は何本かのアンダーラインを足した後、満足げにテストの範囲を告知して教室を後にした。左隅からめくり上げたらさぞ気持ち良いだろうな、という感想をよそに、精密な配色の成された板書を書き取る労力を計算してみる。――アウト。あれはアートであって講義内容ではない。手書きで保存するのは失礼なことだ。と言うわけで今日は退散退散。<br />
「帰るのか、有賀」<br />
　鞄を掴んだ所で声を掛けられた。&hellip;&hellip;そう、確か今年になってから、この口やかましい友人が後ろの席になったんだっけ。<br />
「日暮Ｕ」<br />
「なんだ、その中途半端な発音は。しかもフルネームって」<br />
「名前の綴りが思い出せない。苗字のインパクトに負けすぎだぞ、お前」<br />
「そうか。なら覚えておけ。読みはＹＵでもＹＯＵでも良いが、漢字は見ての通り、優しいの優だ。忘れるな」<br />
　皮肉げに笑って、日暮優が無事に自己紹介を終えた。汎用的な発音の名前は覚えにくい。だが、こいつの場合は存在自体のインパクトだけで事足りた。儚げな名前とは裏腹に、本人は全ての平均点プラスを取る高性能キャラ。かつ美形で男前。人当たりも良い。女でさえなければ非常に潤ったスクールライフを楽しんでいたことだろう。全く羨ましい話だ。<br />
「とりあえず、ホームルームまでは残っていろ。お前がいなくなると見通しが良くて敵わん」<br />
「良いことだろ。ヅラ先生に毛穴の奥まで見つめて貰え」<br />
「やなこったよ、ばか。問題児係として、黙って見過ごす訳には行かないしな」<br />
　ニヤリ笑って、日暮は僕を席に着かせた。&hellip;&hellip;ふん、随分魅力的な「ばか」を言うようになったものだ。ときめいてしまったじゃないか。からかわれるのが目に見えてるため言わないでおくが、僕の中での好感度を３つほど上げといてやろう。光栄に思え。<br />
<br />
「あのさ」<br />
「なんだい日暮さん」<br />
「おう、その日暮さんから質問だ。何かの用事だったか？　&hellip;&hellip;それ絡みの」<br />
　低いトーンでの、ウィスパー。<br />
　大切な暗号だった。<br />
「いや、ただ何となく早く帰ろうとしただけだ。悪いな」<br />
「そうか。いや、なら良いんだ。すまん」<br />
　短く断り、会話が終わる。しばらくは、放って置いてくれるだろうと思って、回想する。<br />
　それ絡み。<br />
　先程は日暮の不適切な説明があったが、僕は決して問題児ではない。成績も生活態度も中程度の平均的な学生だ。容姿も、男子高校生のサンプルその１０くらいに上げられるような汎用的スタイルだと思う。だが、僕の隠匿している秘密は地雷級なので、当然まったく普通の生活に見せかけると言うことは出来ない。何か、緊急の用事で教室を出ていくということも時々発生する。説明は出来ないが、とにかく非日常的な何かで突発的な行動を取り――結果、授業を欠席・早退するような事態を指して、こう呼ぶことになっている。<br />
　この言い方は、日暮が考えたものだ。人と距離を詰めすぎない、という考え方をよく解った言葉だと思う。結局、そのことについては全く説明していないし、何も訊いてこない。僕にとっては都合の良い話だ。だから、たまに焼いてくるお節介は、原則的に受けることにしている。こういうギブアンドテイクも、有りと言えば有りなんじゃなかろうか。<br />
</font><font size="4"><br />
　担任が教室に入り、プリント状の何かを配って説明を始めた。幾何学的な板書は、数人の生徒のことを思って消されないまま放置されている。カツラ先生は何度か後ろを振り返ってチョークを握るが、無言の圧力に負けて口頭での説明に絞ったようだ。頑張っていただきたい。内容は期末テスト範囲と、部活動の時間制限、駐輪場で発生した些細な事故と不審者の情報だった。何人かの安全そうな女子が浮かれ騒いでいる。今すぐに肩を叩いて安心させて上げたいとも思ったが、余り目立つのも人を貶めるのも良くない。平和な生活のためには、ガマンだ。<br />
「えー、では、という訳でね、放課後はなるべく遅くならない時間で、えー、複数人で帰るようにね、して下さい。はい。早いですけれどもね、これで、ええ、解散します。あのー、くれぐれもね、他の教室の迷惑にね、ならないように」<br />
『起立・気を付け・礼・さようなら！！』<br />
「あー、きみたちー、ちょ」<br />
　委員長の気迫を込めた号令で平日過程が終わる。いつもながら小気味よい光景だ。<br />
　僕は友人たちから何かしらの誘いを受けた上で、それをキャンセルして日暮の方に向き直った。<br />
「なあ」<br />
「おう？」<br />
　声を掛けられたのが意外なようで、日暮優は、少し目を丸くして僕を見た。ぶっきらぼうなようでいて、表情は豊かだ。そこもポイントが高い。<br />
　――なので、まぁ。<br />
　ここら辺で溜めた好感度を使っても良いのでは、と考えた。<br />
「話が有るんだけど」<br />
「おう」<br />
「付き合ってくれないか？」<br />
　後ろの嫉妬ヴォルテージが跳ね上がった。友人達は、さっきゲームセンターに行こうと誘った口で、ケツ噛んで死ねと仰ってくる。とても心地良い。<br />
　一方誘いを受けた日暮は、一瞬豆鉄砲を食らったカタチになりながらも、３秒で認識を修正し、<br />
「分かった。付き合おう」<br />
　と返事をした。聡い子は好きだ。ますます気に入ってしまいそうになる。友人達と、教室に残っていた一部の女子が見事なハーモニーを醸しだし、僕たちは束の間、ジャックポットを引き当てたような錯覚気味の熱気に包まれていた。</font></p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <published>2007-06-27T19:15:20+09:00</published> 
    <updated>2007-06-27T19:15:20+09:00</updated> 
    <category term="自在少女と僕らの果て" label="自在少女と僕らの果て" />
    <title>視点共有までの６０秒</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><font face="Arial" size="4"><br />
　</font><font face="Arial" size="4">思い出すのが怖い訳じゃない。ただ、懐かしい過去を回想するとき、人は何かしらの痛みを伴うもので、それが僕にとっては決して小さくないと言うだけの話だ。物語になる以前の静寂した環境。もう二度と戻らない日々。今でもその事を思うと胸がチリチリと焦がれ出す。それでも、――ああ、それでも、たった２ヶ月前の話だったのか。話せば長い。ただ、今の僕を見てその結果は察しているだろうから、どう中身が推移したか、そこに絞って話を切り上げていくとしよう。<br />
<br />
　単純に言えば、僕は厄介な秘密を持ち、それが露見したことで「通常の世界」から市民権を喪って、この久我峰透を主人公とした物語の世界へ巻き込まれることになった。そこに到る流れは、さっき言ったように蛇足とさえ思える。でも、それが今になっても思い返されるのは、そう&hellip;&hellip;それが決して回避できない問題では無かったからだ。悪友は、かつて僕を指差し、「それが属性なんだろ」と言った。久我峰は「運命」と言う。七海なら「宿命」とでも言うだろうか。ともあれ、そんな安い感傷と後悔を生じさせた、「代理人」有賀悟史の喪失を話そうと思う。上の空で聴いてくれると良い。これは、もう何度も辿ってきた、分岐のない回想録なのだから。<br />
</font><font face="Arial" size="4"><br />
　あのころ、僕は遠見岬市にある、何の変哲もない高校に在籍していた。出席状況や普段の素行にも特に問題がない一生徒として、１３６８人の中に上手く紛れ込んでいたと思う。優等生グループや不良の集まりと言った明確な階層は分からなかったが、知り合いの質にもそれほど偏りは無かった。まぁその分、付き合いの深い友人というのは数少なかったが、人付き合いが少ないほど秘密を持った人間は安心できる。だから、この生活には何の不満もなかった。安らいでいた。それは、ひどく脆い足場の上に成り立っている平和だということを忘れそうになるくらい、長く続いた。一年半。そんな時間が経てば、危機感などという物は働かなくなる。<br />
</font><font face="Arial" size="4"><br />
　例えば――もしこの時、僕の第六感が衰えていなくて、帯沼友好の魔眼を見抜ける状況がセッティングされたとしても&hellip;&hellip;事態は変わらなかっただろう。彼と僕は、ほとんど冗談のように似通った存在だし、そこだけ取っても久我峰透との接点は持たざるを得なかったことが分かる。むしろ、その１５ヶ月の間に僕たちが接触していなかったこと自体が奇跡なんじゃないかと思えるくらいだ。<br />
</font><font face="Arial" size="4"><br />
　だから、これは必然。変えられない物語。全ての条件が整った上で繰り広げられた始まり以前のプロローグ。仕組まれていた悪意にも気付けないほどに堕落していた、最も脆弱だった時のストーリー。皮肉なエピソード。今も解けていない伏線。認識できない謎。そんなものがただ時系列にそって並んだだけの挿話。だけど、まぁ、時間潰しには丁度良いだろう。話す。あの日は、確かにそういう空をしていた――。</font></p>]]> 
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    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/26</id>
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    <published>2007-05-30T01:39:02+09:00</published> 
    <updated>2007-05-30T01:39:02+09:00</updated> 
    <category term="自在少女と僕らの果て" label="自在少女と僕らの果て" />
    <title>そして彼女たちの伝説へ</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<font face="Arial" size="4">　<font face="Arial"><br />
　それは、酷く穏やかな日々の記憶。夢想。残響。言い方は何でも良い。言いたいのは、久我峰透に遭遇したあの日、僕の築き上げてきたささやかな平和が崩れ去ったという、ただそれだけの事実だ。言うなれば、僕の世界が久我峰と同化する以前、そこには微かな安らぎと奥行きと広がりがあって、今はそれが手に入らないと言う悔しさがあり、――それを発散する術として、過去を美化し、事件を痛み、偶然を呪い、運命を嫌悪するという負の選択肢があった。さっき漏れたのは、その未消化物としての単語だ。&hellip;&hellip;さて、かくあるローテーションを経て、僕はこの新世界を可能な限り無視する事に決めていた。視線を文庫本に落とし、波風を立てるモノをやり過ごし、出来るだけ行動せず、待機する。息を潜めて死んだフリ。「ナマズみたいね」誰かがそう呟いて背後に座った。「まるで何かを待っているよう」&hellip;&hellip;おかしなことを言う。ナマズは何も待ってやしない。鈍重に徘徊しながら、それでも生きているだけだ。お前にナマズの何が分かる。俯くと、左目になれない反射光が差し込んだ。僕は眼鏡をかけるようになっていた。別に視力など下がってはいない。単なる伊達だ。これも反抗の一種。チープだが、今の僕は限界が見えるまでひねくれてやるつもりだった。可能な限り。可能な、限り。思考が微弱なループに陥り、あるワードを掘り起こす。「そう、不可能は存在するんだ」久しぶりに聞いた自分の声は、ひどく不様にひび割れていた。笑う。「変なの」そいつは呟いてどこかに行ってしまう。追いはしない。無視しているから。僕は日向に引きこもりながら気付いてしまった。思い出してしまった。要するに戦っていたのは――自らの不全感とだったのではないか。無力感だったのではないか。何もできない自分に対する憎しみをただ周囲に転化していただけではないのか。立ち上がる。首を回し、視線を前へ。そこにはさっきから存在していたはずの絶対者が、僕を挑発的に観察している。「行くわよ」命令だ。コレに僕は従わなければならない。「今日こそは面白いところに案内しなさいよね」言い終わるや、鞄を投げつけて軽やかに駆け出す女。少女。――久我峰、透。「分かっているさ」呟いて確認した。これが新世界。僕は笑っている。アイツも笑っている。コレがこの世界のスタンダード。久我峰透を主人公に設定した、英雄物語。僕はそこに囚われてしまい、もう抜け出すことが出来ない。精一杯の抵抗だった停止は、今さっき&hellip;&hellip;飽きた。「分かっては、いたんだ」鞄に縫い込まれた、椿を模した校章を、爪で少しだけ剥ぎ取った。「馬鹿げている。でも参加せざるを得ない。拒絶したい。でも動かざるを得ない。逃げ出したい。それでも進んで行かざるを得ない。コレがこの世界の筋道だ。お前という世界意志を設定された、お前に世界の一部だと認識された僕の役割だ。ふざけている。面白い。僕がアイテムというのならば、どこまで使いこなせるのか見せて見ろ。英雄にはその義務がある。責任がある。観察者を納得させるだけの素養が求められる。久我峰、僕はお前を試してやることに決めたぞ。お前が僕を、じゃない。僕がお前を試してやる。分かっているんだろうな小英雄。お前の目的を見届けるまで、僕はお前を決して許さないからな」――喋りすぎた影響か、喉の皮が内側で破れて、途中からは情けない声になってしまった。錆色の痰を吐き出す。久我峰はふむと１つ呟いて、ぱんと手を打ち、そのまま、緩やかな拍手を続けた。「おめでとう」祝われる。笑っている。喜んでいる。僕はだんだん居心地が悪くなって、八つ当たり気味に久我峰の顔を睨み付けた。すると、「ぱらぱぱぱっぱっぱー♪」綺麗な声で、誰もが知っているＲＰＧのファンファーレを歌い上げた。「悟史が仲間に加わった！！」台詞付きだった。脱力する。そう、予想できていたことだった。ここは僕の知っている現実ではない。もっと馬鹿げたおとぎ話の世界だ。不意に手が差し伸べられる。「物語の世界へようこそ」迷わず手を取る。もう選択肢はないのだから。「さすがは私を読んだ人間だわ」彼女がそう認識したことで、僕の自意識が少しずつ甦り始める。そうだ。有賀悟史。１７才。男。学生。妹持ち。帰宅部ランカー。そして、特異能力者。「超能力者という表現は嫌いだ」「私もよ」気があった。幸先が良い。「行きましょうか、どこか面白いところへ」「任せろ主人公。とっておきの不吉な場所を案内してやる」「楽しみだわ」視線で頷き有って、繋いだ手をポケットに戻す。これからが勇者の時間。僕はその装備。そういう時間が始まる。<br />
<br />
　ああ、そうだ。<br />
　これは蛇足な事だけれど、僕が発狂する以前の話――<br />
　彼女との馴れ初めでも、語っていくとしようか。</font></font>]]> 
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    <author>
            <name>燕</name>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/25</id>
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    <published>2007-05-28T18:41:01+09:00</published> 
    <updated>2007-05-28T18:41:01+09:00</updated> 
    <category term="自在少女と僕らの果て" label="自在少女と僕らの果て" />
    <title>トゥルー・エンディング</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><font face="Arial" size="4">　<br />
　――彼女は泣いているのだろうか。焼けただれた世界の中、そこだけが静止画のように動かない。最悪であるとか災厄であるとか、もはやそんな言葉では塗りつぶすことの出来ない、「惨状」と仮に名付けられた部屋。そこでは何もかもが終わり、停止していた。全て――彼女にとっての全ては、とても小さく、物悲しい姿で、僕らに別れを告げている。この部屋に集い、みんなで薄く新しい友情を楽しんだことは、もはや忘れられない出来事になるだろう。僕は――停止した時間を動かすために、彼女の名前を呼んでみた。「――――」届いていない。僕の声は拒絶されている。しかし、彼女はふわりと振り向き、涙の後を拭いながら、メゾソプラノの声でこう言った。「違うのよ」伸ばした人差し指がパースペクティブを突き破って、僕の唇へと触れる。「こんな事は、何て言うことも無いんだから」&hellip;&hellip;それは、彼女が本心で言っていることなのか、それとも小さく引き裂かれた親友の口調を真似た台詞なのか、今の僕には知る由もない。「命令よ、有賀悟史」言葉と共に、呪縛が始まる。「私は、この過ちを許さない。『こんな』『過ち』は『有って』は『ならない』。こんな終わりは無しだ。リセット。全ての状況を初期化してあなたに命じる。やり直せ。コレは、こんなモノが、私たちが描いた未来であるはずがない。みんなが望んだ結末が、こんな下らないモノであるハズがない。今すぐ実行せよ。全て。一切合切やり直しだ。終わってなどいない。終わってなんか、いない。終わりなんて&hellip;&hellip;」彼女の呟きは消失していく。後はただ、唇が円弧を描いてこわばって行くだけ。彼女の力は発動しない。その理由を僕は知っている。彼女は忘れてしまっている。&hellip;&hellip;いや、忘れた振りをして、そのまま気が付かなくなっているのかも知れない。――この状況は、終わっている。軽口ではなく、本心からそう思った。僕に触れた人差し指は、やがて支えるほどの力もなくなり、あご先をかすめて、その後は振り子のように揺れていた。静かになる。何も起こらない。代わりに、彼女の絶叫が空間を満たした。このアクションは、何の奇跡も呼び起こさない。友人達は甦らない。みんなここで死んでしまった。幼い夢は砕けてしまった。それを受け止めることが出来ないから、こうして不様な高周波が鳴り響いている。働かない警報機が堰を切ったかのように誤作動を続ける。電灯が羽虫を焼き尽くしていく。僕は唇を噛みしめていた。何を言うこともできない。ただ彼女を哀れに思い、天を仰いだ。感傷が、小さな台詞を表示している。僕はそれに従い、丁度吸い上げられた呼気に乗せて、呟いた。「やり直せたら――良いだろうね」<br />
<br />
　８８８秒の無言。<br />
　そして全てが狂い出す。</font></p>]]> 
    </content>
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            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/20</id>
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    <published>2007-04-19T08:11:54+09:00</published> 
    <updated>2007-04-19T08:11:54+09:00</updated> 
    <category term=" 短編 " label=" 短編 " />
    <title>016</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><font size="4">　――おしまい、おわれ<br />
<br />
<br />
　「これくらいリスクが大きければ、あなたは簡単に能力を増やすことが出来ない。だから、死と隣り合わせになりながらも、限定的な状況が揃うまでは、そう言った行動に出てこなかった。違う？」飯泉は小首を傾げなら、僕の対応に目を凝らし、沈黙した。七海は、既にそれが肯定であると受け取ったのか、更に位置を下げて最新号のジャンプを抱き締めていた。&hellip;&hellip;なんだ、こういう類の話は苦手だったのかコイツ。「なるほどね、筋は通ってる。僕がジャンクフードを食べないというのも、その影響で肉食じゃなくなった伏線だと、取れなくもない」ここで、飯泉は悟ったのか。少し顔色が曇った。「でも、気付いてるんだろ？　能力の記録解放&hellip;&hellip;君らの言う『コピーキャット』という現象は、おそらく偶発的に僕が発見したモノだと。情報のトレースを出来る僕が、脳という限定的部位の摂取に固執して、食人という蛮行に到る――っていうのは、ちょっと無理があるよね。まして、肉島友邦の『二律背反』を吸収したとき、僕はそのやり方を確信しているわけだから、それ以前に能力者じゃない誰かの記憶と情報を採取していなければならない。それも複数人。この国はまだ、一介の学生がそんな大それた事を出来るほど、腐ってるわけじゃないよ」「&hellip;&hellip;でも、あなたはそれを経験して、誰かを死なせているはずよ。それが解っていたはず。なら、」「飯泉、その説明は良いセン行ってるんだけれど、違うんだ。意識と記憶を吸収するには、対象者が生きてなければならない。生きたまま脳を食うのって、すごい大変だぞ。名人芸だ」「&hellip;&hellip;食欲と、情報の摂取が直結してると思ったんだけど」「なるほど、背に腹は代えられないっていう心理状態なら、そう言うスキルも身に付いたかもね。&hellip;&hellip;でも、違うんだ。これは、日常の延長みたいな行動で、その精神――魂という情報のカタマリを引き抜いたしまって――その結果、人が死んだ。そういうことなんだ。&hellip;&hellip;だから、情報の『取り込み』っていうより、『吸い出し』って言った方が適切なのかも知れない」ここまで言って、七海の方を見やると、何だか青い顔をして、右手を口にあてがいながら、さっきとは違った様子で震えていた。「――わかった」その呟きが予想外だったのか、一瞬、飯泉が声にならない声を上げた。「お前、もう、それ、&hellip;&hellip;言わなくて良いぞ」「そうも行かないさ。ここで黙ったら、飯泉は納得してくれない」「俺が後で説明しとく」「それじゃ誠意にならないだろ」「&hellip;&hellip;ばっ、こ、こんな状況で、お前は、何を言って&hellip;&hellip;っ！！」済ました顔で返答すると、七海は今度は真っ赤になって言葉を遮った。&hellip;&hellip;気付いたのか、コイツ。頭、悪くないじゃん。「飯泉！　ここは聞かないで置こうぜ？　お嬢だって、コイツの発動条件も何も知らなかったんだしさ。知らぬが仏とか、沈黙は金とか、さ、サイレントまじょなんとかって言葉もあるぜ？」「&hellip;&hellip;意味不明なんだけど」「だ、だからよ、ここは引いて、」「――飯泉、僕のトレースする条件が、対象者との物理接触だっていうのは知ってるだろ？」振り向く七海。僕は目線で制すると、納得の行かない顔のまま、乱暴に座り直した。飯泉は、僕らを不審の目で見ながらも、答える。「&hellip;&hellip;ええ、聞いてるわ。触ったら無条件発動って訳じゃないらしい事も」「そう、僕は任意でこの現象を発動できる。キャラが被ってるって評判の帯沼友好くんは、視線で未来を読むんだったか。何にしろ、接触時間と距離を詰めれば信頼性が増すって言うのは同じだと思う」「&hellip;&hellip;彼の解放は、眼球自体を発信源にして、視線が通った者を全て昏睡させることなんだけど」そりゃすごい。本来は発信に特化した能力だったって事か。「――じゃあ、似てるって話は撤回だな。僕のトレースする条件に話を戻して、詰めておこう。なるべく近い距離で、広い面積、長い時間触れていれば、情報は確実にスキャンすることが出来る。で、その読みとる場所は、どこでも構わない。指をくわえたり、背中を触って貰うだけでも良いんだ。神経が有る程度通ってる場所じゃないと難しいけどね」「&hellip;&hellip;じゃあ、右手で相手に触れるとかの条件は、無いってこと？」「そう。いつも使っているのは、それが一番慣れた行動だからって理由にすぎない。『どこ』で、『どう』触れ合っても、構わないんだよ」そう強調すると、七海は俯いて、何も言わなくなった。表情は解らない。飯泉は戸惑っている。僕は&hellip;&hellip;誤解される犯人役というのも乙で良いかな、と思い始めた。妙に清々しい気分だ。これなら、崖に向かって喜んでダイブしたりも出来るだろう。さっきの焼き直しをするかのように、今度は、僕が、彼女に向かって、言った。自分の胸に手を当てながら、誌を吟じるように。<br />
</font><font size="4"><br />
　「僕は、能力を吸収する際、対象者と姦通していなければならない」<br />
</font><font size="4"><br />
　伝わりづらい言葉を選んでしまったかと思ったが&hellip;&hellip;飯泉はそれでも気が付いたらしい。年端も行かないガキが、自分の能力の特殊さに奢って、どんな接触方法を試したのか。最も敏感な部分と、最も脆弱な部分で交われば、より深い部分の情念と、快感を汲み取れるのではないか。そう思って、自分の全てを受け入れてくれた、世話焼きなクラスメイトに、一体何をしてしまったのか。記憶と精神を全て抜き出された人間が、どんな形で死を迎えるのか。自己を肥大させ、特異な能力に慢心していた自分が、そこで何を思い知ったのか。初恋が、どう終わったのか。どこまで察したのかは解らない。七海は泣いていた。飯泉は、ただ動揺していた。僕は、おそらく、意味不明なほどに微笑んでいた。</font></p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/19</id>
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    <published>2007-04-19T08:07:07+09:00</published> 
    <updated>2007-04-19T08:07:07+09:00</updated> 
    <category term=" 短編 " label=" 短編 " />
    <title>015</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><font size="4">　――おしまいへんのつづきのつづき<br />
<br />
　「今回のことは、解ったわ。&hellip;&hellip;まぁ、事態のおおよそは聞いていたし、あなたが何かをして、彼を洗脳したというのは確かだったしね」飯泉が、癖っ毛で跳ねている前髪を弄りながら、呟くように言った。「でも、まだ半分よ。あなたの保有能力の説明は、肝心なところが話されていない」言われて、七海もそれに気が付いたのだろう。視線が僕の顔に集中し、再び緊張感のある空気が漂い始める。「こんな状況だから、話して貰うわ。２人がリタイアして、久我峰さんまでダウンしてるんだから、実質的な戦力は今、たった５人。少しでも情報を密にしておきたいの。中村さんと幽全先生、それと帯沼くんにも近い内に会わせる。だから&hellip;&hellip;」「安心してよ、ちゃんと話すさ。&hellip;&hellip;ただ、これは&hellip;&hellip;僕の急所、秘中の秘でもあるからね。少しだけ、心の準備をさせて欲しい」言って、僕は立ち上がると背筋を伸ばし、肩を回した。屋上から見る学校の景色は、慣れているはずなのにどこか懐かしくて。気が付くと、２人に背を向ける形で、ネットに指を絡めながら、薄い地平線を眺めていた。「肉島友邦と、未明のやつから、どうやって能力をコピーしたのか。それが聞きたいんだろ？」「&hellip;&hellip;ええ」「２人とも既に死んでいて、その瞬間には必ず僕が立ち会ってる。選択肢は自ずと限られてるんじゃないかな」「あのなぁ、お前、俺みたいにデキの悪いヤツが混じってるのを忘れてないか？　推理とかじゃなく、確定した情報を教えて欲しいんだ、今は」「&hellip;&hellip;解ってるよ。これは、何て言うか、勿体付けじゃなくてさ、&hellip;&hellip;ただ、単純に言い辛いんだ。だから、&hellip;&hellip;少しくらいの遠回りは、許して欲しい」「なら、私の推論を話しておくわね」飯泉が、やや気遣わしげに、それでもやはり口に出したかったのだろう。満を持して、という感じで語り始めた。「あなたは、恐らく普段のスキャン能力だけを使っても、能力の相殺ぐらいは出来ると思う。そうでなければ、久我峰さんと引き分けるなんて出来ないものね。でも、自分でそれを使いこなすためには、もっと精度の高い情報と、記憶が必要になる。たぶん、『読み込む』んじゃなくて、『取り込』まなければならないんでしょう？」その言葉に、七海はただキョトンとした反応を見せるだけ。僕は、ただ黙っている。飯泉は反応が得られなかったことに少し不満を見せつつ、続けた。「肉島友邦を尋問したとき、あなたが全ての情報を引き出した彼女の身体は、完膚無きまでに破壊されていた。でも――、アレはフェイクだったんでしょう？　身体の欠損を誤魔化すための。有賀未明&hellip;&hellip;妹さんの時、あなたは彼女に火を放って、死体を焼き尽くした。&hellip;&hellip;あんなに可愛がっていた彼女の身体を、無惨に壊すなんて出来ないものね。かと言って、欠けた身体をそのままにしておく事は出来ない。だから、燃やした」「&hellip;&hellip;ちょっと待てよ。欠けたってことは、何か？　コイツは指とか目玉とかを切り取って、自分に貼っ付けたってのか？」「違うわよ。見たでしょう？　確かに全身粉々だったけど、肉島友邦の指は揃っていた。私が回収したんだから間違いないわよ。それよりも、酷かったのは頭部の破損。銃を炸裂させたとしても、あんなに中身が飛び散ることは無いでしょうね。それだけ念入りに細工した。せざるを得なかった」飯泉は、黙って表情を変えない僕を見据えながら、こう告げた。<br />
</font><font size="4"><br />
　「あなたは、能力を吸収する際、対象者の脳を食べなければならない」<br />
</font><font size="4"><br />
　指を差したりはしなかったものの、その姿は様になっていて、&hellip;&hellip;洗いざらい全てを話してしまいたくなるような、清潔なオーラを発していた。２時間ドラマの犯人役というのは、案外痛快な気分で演じているのかも知れない。これなら喜んで崖も背負ってしまえそうだ。そんな気持ちで薄く笑っていると、七海がドン引きした表情で、心持ち小さく震えながら、少しずつ僕との距離を取り始めていた。僕は地味に傷つきながら、一言。「&hellip;&hellip;そんな目で見んな」</font></p>]]> 
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    <author>
            <name>燕</name>
        </author>
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    <id>byouinzaka.blog.shinobi.jp://entry/18</id>
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    <published>2007-04-19T08:01:08+09:00</published> 
    <updated>2007-04-19T08:01:08+09:00</updated> 
    <category term=" 短編 " label=" 短編 " />
    <title>014</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<font size="4">　――おしまいへんのつづき<br />
<br />
　「最初に説明して置くけどさ、僕は峠午前を殺した訳じゃない。それは、解るよね？」「当たり前だろ。あの状況でアイツをぶっ殺したら、その時点で手袋になっちまった木乃葉は死亡。お嬢は精神崩壊。俺らが暴走して蜘蛛は解散。マジ、ムカツクほどに最悪なルートだ」「その通り。それに、僕が攻撃的な意志を見せた瞬間、自身の敗北を認めてしまった久我峰は、絶対的な威力で止めに入るだろうからね。七海はマチって形容したけど、アイツの能力と、能力を扱うプレイヤースキルは尋常じゃない。僕なんか瞬き１つせずに殺されてしまうだろう」「&hellip;&hellip;それは、あなたが本気を出さなければ、の話でしょう？」飯泉は、プリーツスカートを行儀良く折り畳んで、僕の向かいに座り込みながらそう言った。「どうも過大評価されているようだけど、僕の戦闘能力なんて知れたもんだよ。単純なケンカなら、そこらの男子学生の方がよっぽど強い。君たちが帯沼友好の視点にどれだけ聞かされたか知らないけれどね、この能力の発動条件って言うのはとんでもなく厳しいんだ。使うには、それなりの準備が必要になる」「知ってるよ。だからクロロだっつってんだ」七海が僕の語尾を遮って言った。&hellip;&hellip;ああ、なるほど。コイツは、言われるまでもなく、僕の能力の本質に気が付いてやがったのか。「『コピーキャット』って私達は呼んでるけどね。他人の精神を、物理的接触でトレースし、状態の本質を掴む。コレがあなたの表向きの能力解説だけど、それだけで久我峰透の友人は務まらない。つまり、トレースしたモノを再現、再構築出来る手段が有って、あなたはそれを彼に使った。&hellip;&hellip;そうなんでしょう？」「――『まねっこ』、か。そいつは言い得て妙な名称だね。僕は単純に『記録解放』って名付けてたから、それも考えておくよ」苦笑して、僕は常備しているはずのミネラルウォーターの瓶を探し、その栓をひねって一口含んでから、続きを話した。「さっきの七海じゃないけど、ジャンプ漫画で例えるところのカカシ先生みたいに捉えられてるフシがあるから、まずそいつを否定しておこう。そんな便利なことは出来ない。僕の能力ベースは飽くまでも『状態の読み込み』で有って、その出力というのは例外中の例外なんだ。じゃなきゃ先の戦闘で、僕が致命的な足手まといになんかなる訳がないだろう？　僕が解放&hellip;&hellip;再現できるのは、２つ。肉島友邦の『二律背反』と、有賀未明の『絶対命令権』だけだ」２人の顔色が変わる。それはそうだろう。今挙げた能力者は２人とも既に死亡していて、しかもその保有能力は信じがたいほどに強大、かつ悪質なモノだったからだ。「&hellip;&hellip;どっちも、精神攻撃系のハイエンドじゃねえか。前よりもインパクトが強烈になったぜ、お前」「そんな目で見んな。言っただろ、発動条件が厳しいんだって。それをお前に使うなんて有り得ないと思うけど、使うとなったらスグに解るから問題ないさ。秒殺だ」「&hellip;&hellip;ということは、タメが長い&hellip;&hellip;ロードには時間が掛かるって解釈して良いのかしら」「その通り。解放した記録が同着するまでには、かなりの時間が必要になる。そこは完全に無防備だから、不意を打たれたり、超スピードで戦われたりしたら話にならない。相手が&hellip;&hellip;あの峠午前だったから適用できた手段だよ」２人は沈黙する。呆気に取られていると言うより、今回の仕掛けについて見当が付き始めたから、その整理に忙しい&hellip;&hellip;といった所だろう。「じゃあ&hellip;&hellip;、コレしかないな。お嬢が泣き崩れるか呆けるかしてる間に、お前が別室に呼び出すか何かして、妹さんの『目』を使う。肉島の精神汚染じゃ、あの野郎のジレンマなんて引き起こせないだろうからな。それで今の状況ってことか」「おおむね正解、として置こうか。実際は峠午前が自ら僕を招いてくれて、発動時間中も散々長広舌を振るっていたというオチなんだがね。あいつは、自分が死ねばゲームオーバーっていう仕組みを過信していたから、ナイフ１つ持ってなかったよ。非常にあっけなかった。『目』で脳回線をフルに開いた上で、彼女の治療を要求する。後は皮肉ながら、アイツの腕を信じつつ、久我峰の精神的回復を待てば良いって寸法さ」出来るだけ気楽そうに言ったが、実際はそう楽観できる状態ではない。生まれて初めての敗北を喫した久我峰の傷は深いし、峠午前が施術した渾身の作品&hellip;&hellip;木乃葉在良の生命形態を復元するのは、極めて難しいだろう。それに&hellip;&hellip;彼女が、久我峰の「痛み」として存在し続けること自体には代わりがない。そう言う意味で、事この状況に置いても、峠午前の計略は成っているのだ。僕は、考え得る最良の手を打ったつもりだったが、それが自体の回復に繋がるかどうかは、天に祈るしかない。&hellip;&hellip;確かに、敗北だった。</font>]]> 
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            <name>燕</name>
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    <published>2007-04-19T07:56:49+09:00</published> 
    <updated>2007-04-19T07:56:49+09:00</updated> 
    <category term=" 短編 " label=" 短編 " />
    <title>013</title>
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      <![CDATA[<p><font size="4">　――ライフ・ログ・アウト　（おしまいへん）<br />
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　「いよー兄弟」軽薄な笑いで、七海尊士が僕を呼んだ。&hellip;&hellip;どのくらい眠っていたのだろう。昨日まで初夏に近かった暑さが、今は完全に引いたようで、仮眠している間に相当な体力が奪われてしまっていた。少し――身体と心が痺れている。「寝てんのか？　寝てたら踏みつぶすぞ」「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;起きるよ」しぶしぶそう言って、フォールを逃れたプロレスラーのように右肩を上げる。目隠しにしていたタウン誌を落とし、胸ポケットから眼鏡を取って、ピンボケした世界に焦点を合わせ、数秒。&hellip;&hellip;、よし。「起きたぞ」「良い反応だ」七海はそう言って、今週号のジャンプを小脇に抱えたまま、僕の横へと座り込んだ。内容は既にチェックしていたのか、一呼吸経ってもそれをめくろうとはせず、僕と視線を合わせないまま、まず呟いた。「悪かったな」「やめてくれ、気持ち悪い。お前の口からしおらしい言葉が出ると、僕の世界まで終わってしまいそうだ」「いや、今回は、――今回ばかりはな、みんなお前に感謝してる。っつーか、負い目を感じてる。その総意だと思ってくれや」力無く笑って、七海は遠くのビル街&hellip;&hellip;おそらく、前回の戦場か、峠午前の白林病搭を見やりながら、続けた。「お前以外には出来なかった。今回のことは」「&hellip;&hellip;だろうね」「だからよ、解説して欲しいんだ。お前が、どうやって峠午前を堕としたのかを」雰囲気が変わった。季節通りの風が、心持ち寒く感じる。七海は、自慢のハリガネ金髪を梳いてから、見たことのない真顔で僕の反応を窺っていた。「幻影旅団」「&hellip;&hellip;え？」「ＨＵＮＴＥＲ&times;ＨＵＮＴＥＲくらい読んでんだろ？　俺はこの８人のこと、『蜘蛛』って呼んでるからよ」&hellip;&hellip;いや、真顔で言う割には、結構面白いことカミングアウトしたぞ、今。「例えるなら、俺がノブナガで飯泉がシズク、幽全がフェイタンで、お嬢がマチってところだな」「本編の設定と、ずいぶん食い違うな。それに、久我峰はどう考えても頭だろ。クロロじゃないのか？」「俺は、能力の種別で言ってるんだよ、単純に。そして、その言い方だと&hellip;&hellip;この旅団のクロロ・ルシルフルは、お前って事になる」&hellip;&hellip;こぅ、と風が吹く。反論を許さない、といった様子で僕をみる七海。そして、いつの間にかもう１人。「私も、聞かせて欲しいな」初めて見る、セーラー服姿の『干渉者』――飯泉式がそこにいた。学校に、この伝説の不登校児が現れたと言うことは――、たぶん、帯沼友好の透視を使って来たんだろう。「なら、仕方がないな&hellip;&hellip;」この２人にならば、確かに話してしまったかも知れない。いや、もうその気になってしまっていたし、いずれ露見してしまうことだ。胸に留めていた靄を、お言葉に甘えて、吐き出させて貰うとしよう。僕は、掃き清められたかのように綺麗な、それでいて微かに雲が引く５月の空を見上げ、静かに息を吸った。語り始める。</font></p>]]> 
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            <name>燕</name>
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